大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第一小法廷 昭和53年(オ)149号 判決

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人伊勢正克の上告理由第一点について

原判決の適法に確定した事実関係のもとにおいては、本件手形には裏書禁止文句の記載があるとした原審の判断は、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。所論引用の判例は、事案を異にし、本件に適切でない。論旨は、採用することができない。

同第二点について

手形の振出人が、手形用紙に印刷された指図文句を抹消することなく、指図禁止文句を記載したため、手形面上指図文句と指図禁止文句が併記されている場合には、他に特段の事情のない限り、指図禁止文句の効力が優先し、右手形は裏書禁止手形にあたると解するのが相当であり、これと同旨の原審の判断は、正当として是認することができる。原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 岸 盛一 裁判官 岸上康夫 裁判官 藤崎萬里 裁判官 本山 亨)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例